2-157氏


162 名前:なつのおわりのよるのゆめ【前編】(0/21)[sage] 投稿日:2008/04/24(木) 16:37:58 ID:7gpV/0UH


管理人氏の手を借りて、代わりに投下していただくことになりました。

上でも書きましたが、本文は電撃hのみに掲載された
「デュラんぷ!」のセルティ視点による焼き直しになります。
未読の方にはネタバレになりますのでご注意を。

とりあえず本日は前編のみの投下です。
前編のエロカップリングは「遊馬崎×夢魔」になります。
エロシチュそのものは8レス目ぐらいから始まりますので、
「デュラんぷ!」既読の方で『俺はエロだけ読みたいんだよ!』と言う方は
その辺りから読み始めるといいかも知れません。

後編は「新羅×セルティ」を予定してます。
規制が解ける5月半ばごろには書きあがってる……と、いいなあ。

163 名前:なつのおわりのよるのゆめ【前編】(1/21)[sage] 投稿日:2008/04/24(木) 16:40:04 ID:7gpV/0UH



 ―――ふむ。カニ玉でも作ってやるか。
 
ラベルに『Супер краб』というロシア語とビミョーにデッサンの狂った
カニの絵が描かれてた缶詰を見ながら、私は胸の中でひとりごつ。
 
このカニ缶はさっき仕事の帰りがけに、静雄に半ば押し付けられるようにしてもらった物だ。
話を聞いてみれば、静雄は静雄で"サイモンに山ほど押し付けられた"との事で、
どうにも処分に困っていたらしい。
ありがたく頂戴しておいたのだが、残念ながら私自身はこれを味わう事など出来はしない。
 
だって私―――セルティ・ストゥルルソンは『首なし』なのだから。
 
 
              ♂♀
 
 
切り落とした自らの首を小脇に抱え、
人々に死期を告げてまわる妖精デュラハン……の、『首から下だけ』それが私だ。
失った首を求めて彷徨い歩き、とうとうこんな極東の島国にまでやってきてしまった。
 
とりあえず今は、こんな私みたいな『首なし女』を生涯の伴侶として決め付けていやがる
少々変質的な闇医者―――岸谷新羅のマンションに居候して雨露をしのいでいる。
 
そして、半年ほど前の話になる。
『首探し』のごたごたを経て、私と新羅は少々……
……いや、かなり歪んだ形ではあったけど、互いの気持ちを真っ向からぶつけ合った。
結果、新羅の奴の気持ちはどうしようもないぐらいマジである事が分かったし、
私の方もなんだかんだいって新羅のことを異性として意識はしつつあったから、
多少なし崩しではあったけど、あの夜以降、
私たちの関係は『家主と居候』から『恋人同士』へと変化した。
 
だからって、普段の生活が何か変わったわけではなく、
せいぜい新羅の奴のセクハラが、いままで以上に露骨になり、
それをおさえる私の暴力が少々度をこえたものになった程度のものだった。
 
まあでも、そういう関係も実のところは別に嫌いじゃなかった。
新羅が何かと言うと私の体に触れてくるのは、
『首無し』の私を容姿も含めて好いてくれていると言う何よりの証明だったし、
最近では私もまた新羅に抱きすくめられたりすると、ある種の安心感を覚えるようになっていた。
 
 
              ♂♀

164 名前:なつのおわりのよるのゆめ【前編】(2/21)[sage] 投稿日:2008/04/24(木) 16:41:19 ID:2BSPUUuO


―――ま、自分で食べらんないなら、新羅に食べさせてやるしかないよな。
 
私は居候の身であるからして、家主の新羅にメシの一つも作ってやるべきなのだろうが、
どうにも『料理』という奴だけは、なかなか上達できずにいる。
口も舌も無いもので味見が出来ず、塩と砂糖を間違えるなんて事もたびたびだ。
おかげで新羅が口に入れるまでは、調理の出来不出来はサッパリ分からず、
料理にチャレンジしては"……セルティのドジっ子としての新たな魅力発見だよ"
などと、新羅に妙な慰められ方をする毎日だ。
 
それでも、訓練のかいあって、かに玉とかスクランブルエッグなどの玉子料理だけは、
最近では新羅の好みの味に作れるようになってきた。
指先にまとった『影』を短い『刃』の形に整形し、缶詰のふちに押し当てると、
『刃』をぐるりと一周させていく。
銀色の円盤をとりはずし、中に覗くは、ほんのり海の香りの漂う白い肉。
露西亜寿司で使ってるらしい"開けたての缶詰"と、言うのはこれの事だろうか。
 
青ネギと、あらかじめ水につけて柔らかくしといた干しシイタケを
『影』の刃物で切り刻み、細切りにする。玉子はわって溶きほぐし、塩コショウで味付けする。
白身と黄身が均一になったら、カニ缶やらシイタケやらをほおりこんで更に混ぜ合わせていく。
コンロを強火にして炒め鍋を充分に熱し、油をなじませたあと
玉子とカニの混合物を一気にぶち込んで、混ぜる、混ぜる、混ぜる!
半熟になったら、手首のスナップを利かせて玉子をひっくり返す。
オッケイ。ここさえ上手くいけば後は簡単、ネギを散らしてふたをして、後は弱火で蒸し焼きだ。
器にもって、餡をかければ完成! おお、我ながらなかなかいい出来じゃないか。少なくとも見た目は。

165 名前:なつのおわりのよるのゆめ【前編】(3/21)[sage] 投稿日:2008/04/24(木) 16:42:09 ID:2BSPUUuO


さて、あったかいうちに新羅の奴に食わせてやろう。
リビングに向かい、一声かけようかと思ったら、新羅はテレビを見ながらなにやら怪しい動きをしている。
 
テレビに夢中の新羅の肩をつんと突付き、文字を入力済みのPDAを差し出す。
『新羅。ごはんできたから、キッチンへ』
 
新羅は呆けたような顔をして振り返り、
「え? あ、ああ。ありがとうセルティ……」と、これまた気の抜けた返事を返して来る。
こりゃよっぽど画面に集中していたらしいな。
 
『なんのテレビを見ていたんだ? NHK教育か? このチャンネルは』
「初めて赤ちゃんを産む母親向けのテレビなんだ。
ほら、僕とセルティもいつかはお父さんとお母さんになるだろう?」
 
……おいおい、赤ちゃんって。そりゃいくらなんでも先走りすぎだろう、新羅。
確かにヒトと人外の間に子供が出来る、なんて伝説は枚挙に暇が無いけれど、
私たちはまだ……キスさえしてない仲じゃないか。
いや、キスにしたって私たちの場合は物理的に不可能なんだけどね……私に口が無いから。
もっとも『子作り』そのものは出来るかも……って、私も何を考えてんだ……
 
『新羅、おまえ……』
「見て、これがラマーズ法。赤ちゃんを産むときの呼吸方だよ? 
セルティも試しにやってごらん? ほら、ひっひっふー。ひっひっふー」
 
マヌケだなー、とは思いつつも、新羅の真剣な様子についついつられてしまう。
『あ、ええと……。ひ……ひっひっふー。ひっひっふー……』
 
「やだなぁセルティ、PDAに打ち込んでもしょうが……ああ! セルティ! 
なんだこれ! なんか天から降り注いできた! 熱い! カニ玉あつい!」
 
うっかりイラっと来てしまって、気づけば私は出来立てほやほやの
カニ玉を新羅の頭上に盛大にぶちまけていた。
ああ、畜生。せっかくの自信作だったのに……!
 
 
              ♂♀

166 名前:なつのおわりのよるのゆめ【前編】(4/21)[sage] 投稿日:2008/04/24(木) 16:43:14 ID:7gpV/0UH


「あーあ、セルティのおかげでカニ玉塗れだよ」
『黙れ』
 
頭から半熟状の黄色い物体を滴らせる新羅に向かって、私は冷たく言葉を返す。
 
「ふふふ、九腸寸断の思いだけどあえて僕は君のことを許そうじゃないか。
少しふざけた事を言った僕にも責任はあるわけだしね」
『もう何も言うな』
 
まったくコイツは……なにやっても堪えないからどうしようもないな。
私は気分を変えようと思って、残暑の熱気の残る
夕日の差し込む窓に近づき―――いつもと違う町の様子に気がついた。
 
―――あれ?
 
「どうしたの、セルティ」
新羅の奴は、私の感情の変化には敏感だ。表情も声も持ち合わせない私の感情を、だ。
そう言うのは新羅と深く通じてあっているようでちょっと嬉しい……が、今はそんな場合じゃない。
 
私は窓の外に意識を向けながら、新羅に向かってPDA上に文字を打ち出していく。
『なにか、いる』
「なにかって?」
『強く感じる。私以外に、人間ではない存在を。私と同じような存在を感じる』
「……まさか。君と同じデュラハンが?」
『いや、違う。この気配は……もっとドロドロとしてて……
ああ、覚えがある、似たような気配は昔いくつか感じた事がある』

頭部ではなく、体自体に残っている感覚をたどりながら、私は一つの存在を思い出していた。

『この気配は』

一瞬の間をおいて、私はためらいながらも続けてキーを打ち――
――それを見た新羅は実に複雑な表情をして見せた。
 
 
              ♂♀

167 名前:なつのおわりのよるのゆめ【前編】(5/21)[sage] 投稿日:2008/04/24(木) 16:44:20 ID:2BSPUUuO


―――十数分後、私は気配の主をあっさり補足していた。
 
そいつは、なかなかに愛らしい……と、いうか、
かなりの美少女と呼んでも良い位の顔かたちをしてはいたけれど、
背中から生えた一対の翼が、人間以外の存在である事を主張していた。
さらに、濃緑のワンピースにフリルの付いた白いエプロンドレスをあわせたその姿は、
強いて言うなら『緑色のメイドさん』とでも言う風情で、現実離れした雰囲気を醸し出している。
気配の質が遠い遠い過去に感じたものと似ていたので、ある程度、正体の予測はついていたのだが、
近づいてみて確信を持つ。
 
そいつは『夢魔』の一種だった。
 
よほどの田舎から出てきたのだろう。
見るもの全てが珍しいと言った風情で、そびえ立つビルの群れを見ては驚き、
溢れる雑踏を見て歓声をあげながら、池袋の町を徘徊していた。
 
周りの人間が何の反応も示さないところを見ると夢魔は姿を消しているつもりだったのだろうが、
あいにくと『影』でモノを見、『影』で音を聞く私にはあんまり関係の無い話で、
奴が『見ていろ! この街の連中から精気を搾り取って力をつけ、
私を小間使い扱いしたあの子爵を見返してくれるわー、クハハハハハハ!!』などと、
一人で気炎をあげている姿まで丸見えの丸聞こえだった。
 
どうやら元々は『子爵』と呼ばれる、より上位の化け物に仕える使い魔的な奴だったのだろう。
あるじである『子爵』とやらの所を飛び出して、都会で一旗揚げよう、という心胆だったのだろうが、
しかし、そんなメイド服を着込んでいては、どう考えても小間使いそのものにしか見えないぞ。
 
この時点で、ものすごい小物臭がしていたので『こんなんだったら放置しといても大丈夫かなー』
などとも思ったのだが、多少、気にはなったので、私はこっそり後をつけることにした。
街の――池袋の人間を気遣ったのではない。
この、愛らしくも少々間の抜けた感じの『夢魔』が心配になったのだ。
何しろ池袋にはヘタなバケモノよりは、よっぽど濃いメンツがそろっているのだから。

168 名前:なつのおわりのよるのゆめ【前編】(6/21)[sage] 投稿日:2008/04/24(木) 16:45:39 ID:2BSPUUuO


案の定と言うか『街』に慣れていない夢魔は行く先々で酷い目にあっていた。
精気を絞りとるどころか、無駄に魔術を使って力をどんどん浪費し、
しまいにゃ、この池袋で一番手ェ出しちゃいけない奴にまでちょっかい出し始めた。
……もちろん静雄の事だ。
よりにもよって臨也の姿に『変化』して近づいたもんだから、
そりゃもうかわいそうな位にボコにされ、サイモンが止めてなかったら、
たとえバケモノとは言え結構ヤバかっただろう。
 
ボロボロにされた夢魔があまりに哀れだったので、
"悪い事言わないからそろそろ故郷に帰んなさい"などと、
ここらで私が一声かけようかと思ったとき……別の奴に機先を制された。
 
遊馬崎ウォーカー。
趣味、二次元。特技、オタク。
 
どこに出しても恥ずかしくない立派な人間失格者であるこの男が、
路駐してあったバンに夢魔を半ば強引に引きずり込んだのだ。
夢魔は臨也の姿に『化けた』ままの上、ボロボロのフラフラだったから、
遊馬崎の奴はバンの中で傷の手当ての一つもしてやろうと思ったのだろう。
しかしまあ、遊馬崎なんぞに関わりを持たれてしまうとは、この夢魔もよくよく運が無い。
ある意味に置いて臨也や静雄よりもタチの悪い野郎なのだから。
遊馬崎も普段は基本的に面倒見のいい奴ではあるんだけどねえ……
 
本気で心配になってきたので、私は『視線』をバンに向け、何かあったときのために観察し始める。
また、ヒトとは違う私の聴覚は、少し離れた位置からでも、バンの中の会話を苦も無く聞き取る事が出来た。
 
静雄にやられた夢魔は半死半生と言った風情だったから、
目の前の遊馬崎からどうにかして精気を搾り取ろうとしたのだろう、
気づけばバンの中でどこぞのグラビアアイドルに変身して遊馬崎を誘惑していたが……
……相手はあの遊馬崎である。三次元の女になど見向きもしなかった。
 
そこで夢魔はプライドを傷つけられたのか、
「このままでは私の夢魔としての沽券に関わる! 
おまえの望む姿ならなんにでも変化してやるから精気を吸い取らせてもらうぞ!」
などと、あっさり正体をバラし、遊馬崎のほうも
「待ってた……待ってたっすよ……! いつかこんな日が来るんじゃないかって!」と、
夢魔が3次元世界に実在すると言う現実を、いともあっさりと受け入れていた。
……いや、ちょっとは疑問を持つとかしろよ。

169 名前:なつのおわりのよるのゆめ【前編】(7/21)[sage] 投稿日:2008/04/24(木) 16:46:19 ID:2BSPUUuO


そして、そこからはもう、ずっと遊馬崎のターンだった。
 
十叶詠子に渾名で呼ばれたいだの、峰島由宇に首をひねられたいだの、マロい彼女がほしいだの
ドクロちゃんにエスカリボルグでしばかれたいだの、ミラに看護されたいだの、
わっちと旅がしたいだの、皇女さまに剣を指南したいだの、
イタチさんに血を吸われたいだの……と、まあ、3次元との接点が一ミリも存在しない欲求を、
遊馬崎は次々と夢魔へとぶつけていった。
 
そりゃもうかわいそうなのは夢魔のほうだ。
田舎から出てきて、急にこれだけ現実ばなれした欲望を向けられても、戸惑うばかりだろう。
 
なんとか遊馬崎の頭の中を読み取って、精気を吸い取ろうとしていたようだが、
流石に不気味なものを感じ取ったらしく、
「え、ええい、付き合ってられるか!」と、逃げ出そうとしたところを
「逃がしはせん、逃がしはせんっすよーっ!」と、遊馬崎に背後からガッチリと羽交い絞めにされてしまった。
 
「せっかく手に入れた夢魔なんすから、せいぜいこき使わせてもらうっすよ!」
「ふざけるな! 二次元のものを三次元に変換などできるか!」
「ニッポンのトゥーンレンダリング技術に不可能はないっすよぉーーっ!」
 
夢魔は何とか遊馬崎から逃れようとしてるが、そこで文字通り精も根も尽きたのだろう、
とうとう完全に『変身』もとけてしまい、もとの姿である少女の形に戻ってしまった。
 
「こっ……これはーーーっ?!」
その夢魔の姿を見、驚愕の声で叫んだ遊馬崎の欲望が、
ありえないほどにむくむくと膨れ上がっていくのを、夢魔のような『本職』ではない私でさえ感じ取れる。
……なんだ? ヤバくないか、コレ?
 
 
              ♂♀

170 名前:なつのおわりのよるのゆめ【前編】(8/21)[sage] 投稿日:2008/04/24(木) 16:47:30 ID:2BSPUUuO


「メイドさん? メイドさんが突然俺の目の前にっ?!」
「私も、す……好きで着てる服装じゃない。『子爵』の奴の趣味で、こんな、小間使いの格好を……」
 
……ヤなシュミしてんなー、『子爵』とかいう奴は。
 
「なるほどなるほどなるほど……それが『真の姿』という訳っすね?」
「まあ……、一応、そう言うことになるが……」
 
遊馬崎。お前はこの異常事態に何でそんなに理解が早いんだ。
 
「素晴らしいっ! ディ・モールト素晴らしいっすよ!!」
感動のあまりか、遊馬崎は夢魔の肩を掴んでがくがくとゆすぶる。
「え? ……ええっ?!」
むしろ、夢魔の方が事態をつかめていないらしく、おろおろとしており、
そう言う仕草は外見どおりの少女っぽくてなかなかに愛らしい。
 
「喋り方はこんなだし、声も中性的だから、てっきり野郎だと思ってたっすけど……
まさか、こんな、金髪碧眼の、マンガのキャラみたいなおねーさんで―――
―――なおかつ、緑色のメイドさんだとは!!」
 
野郎と思いこんだ上で欲望をぶつけてたのかよ……流石は遊馬崎というか。
更に、相手が女だとわかったせいか、更に遊馬崎の言動に遠慮がなくなってきた。
 
「俺は本来、フィギュア以外の三次元は認めないつもりっすけど……
……今のアンタなら二次元と同等として認めることに依存は無いっすよお!」
「それは褒めてるのか?! 馬鹿にしてるのか?!」
「褒めてるんすよ! 少女から大人へと移り変わるその一瞬だけを捕らえたかのようなその顔の造形!
そして妖艶絶無氏が原型を切ったかのよーな、メイド服の上からでも分かる
地味に鍛えこまれたその体のラインがたまんねーっす! 特に腹筋と鎖骨が!」
「わからん……さっぱりわからん」
 
まったく、遊馬崎にかかったら夢魔もフィギュアと同等か……
……って、まだ面と向かって話をしたことはないけど、
私がデュラハンだと知ったらさぞかし五月蝿いだろうなあ、コイツは。

171 名前:なつのおわりのよるのゆめ【前編】(9/21)[sage] 投稿日:2008/04/24(木) 16:48:47 ID:7gpV/0UH


「……で、夢魔というからには、吸い取るつもりなんっすよね、俺の精気?」
「え……? そりゃ、まあ、そのつもりだが……」
「お相手がメイドさんだってんなら、俺もぜんぜんオッケーッすよ! 
そんで、『吸い取る方法』は夢魔のとりうる一般的な奴で良いんすよね?」
「そのイメージであってるが、お前なんでそんな詳しいんだ……」
「禁則事項っす♪」
 
……まて、それは色々とヤバくないか?
どうしよ。助けてやるべきか……ってか、この場合どっちを?
ヒトがバケモノに襲われてるんじゃなくて、バケモノがヒトに襲われそうな場合は……
……と、言うか、何かあっても最初にいらんちょっかい出した夢魔の自業自得だよなあ。
でも、このままじゃ遊馬崎も精気を吸い取られちゃうわけで、タダじゃすまないだろうし。
 
「ウフフフフフフフフ、んじゃ、さっそく行っちゃっても?」
「お前も人間だったらちょっとは躊躇うとかだな……まあ、こっちも依存は無い、んん…っ、んあああむっ」
 
合意と見るや、遊馬崎はいきなり夢魔の唇を奪った。
ほどなくしてぐち、ぐち、ぐち、と舌と舌が絡まりあう、粘性の音が暗い空間にこもって溢れ出す。
おいおい……ホントにこんな所でやらかす気か?
確かにここは人通りも少ないとは言え、道一本向こうは大通りだってのに。
……まいったな、止めるにしてもタイミングを失っちゃったぞ。
 
「んぅ……あぁ…コラ……そんないきなりがっつく奴があるか……」
「んん〜? がっついてんのはそっちのほうじゃ無いんすかぁ? あんな積極的に舌ァ絡めてきちゃって」
「そんなこと……ない」
 
……あー、本格的におっぱじめやがったなあ。
まあ、私もヒトの情交を見るのは別に初めてというわけでも無い……けど。
故郷のアイルランドの森にいた頃は、春先になるとサカリのついた男女が樹木に体を預けてまぐわっていたりした。
池袋に来てからも、追い込みをかけたヤクザが情婦とよろしくやってる現場に踏み込んだ事もあるし、
一度などは、バイク便の届け先でアダルトビデオの撮影真っ最中だったって事もあった。
 
『こういうの』が、ヒトの生活活動の一環である事は理解してるし、
今までは特に何らかの感慨を抱く事も無かった……はず、なのに。
でも……なんで、こんな、今……私は、この光景から『視線』を逸らせないんだろう……
 

172 名前:なつのおわりのよるのゆめ【前編】(10/21)[sage] 投稿日:2008/04/24(木) 16:49:28 ID:7gpV/0UH


さっきのキスでは物足りなかったのか、今度は夢魔の方から遊馬崎へと唇を寄せていく。
 
「あ、うぅん……はぁ…最初っか…ら、んぅ…変に悩…まず、あぁ…こうしてれば……よかっ……」
「んっ……こりゃ、ぷは……イケナイ…メイドさんっすねえ……」
 
唇が離れても、舌先と舌先だけは名残惜しそうに絡み合い、
そしてついには、ねっとりと糸を引きつつほぐれて行った。
しかし『夢魔』と言うわりには、コイツはさっきから遊馬崎に翻弄されっぱなしで、
あんまり男扱いに慣れてなさそうだな……よっぽどの田舎で純朴な人間ばかり相手にしてたんだろうか。
 
「ンックックックッ……いやいや、ご馳走様っす」
「三次元に……興味がないと、言う……わりには、結構…上手いじゃないか」
「そりゃ、ちょっと前では三次元でもアリアリだったっすから」
 
遊馬崎のほうはいたって元気なものだが、夢魔は息も絶え絶えといった感じだ。
そして、夢魔は今のキスですっかり火がついてしまったのだろう、
さきほどまで少々強気な光のともっていたその目は、今はとろりと蕩けて蠱惑的な魅力を放っている。
……なんか、はたで見ている私の方が惹き付けられそうだ。
 
「さァて……そろそろ、いけないメイドさんに本格的なご奉仕お願いしちゃおうっすかねえ」
「あんまり小間使いあつかいするな……嫌なんだ。怒るぞ」
「そー言われてもっすねえ『夢魔』じゃ呼びにくいし。……あ、そうだ、名前はなんていうんすか?」
「……レルードだ」
「おーけい。じゃ、レルード、ご主人様に夜のご奉仕してくれないっすか?」
「いつからお前が私の主人になった……と、言うか結局立場関係変わってないだろうが……」
 
そう言いつつも、よっぽど『餓えて』いるのか、レルードと名乗った夢魔は遊馬崎へと体を摺り寄せていき、
服の上からでも分かるほどに存在を主張し始めた遊馬崎の『男性自身』へと手を伸ばし、撫でさする。
 
「夢魔っつーワリには、随分おとなしい責めっすねえ……初々しくってそれはそれでOKっすけど!」
「五月蝿い、馬鹿にするな……ってコレ、お前、まだ、どんどん膨れてっ……ちょ、どれだけ……」
「ん〜、ボチボチ服きたまんまじゃ窮屈っすね……とりあえず、チンコだけ取り出してもらえるっすか?」
 
言われるままにレルードは遊馬崎のジッパーを下ろし、中身のものを取り出すと、息を呑んだ。
「……嘘。こんな、大きい、のが」
 
暗闇でも昼間とさほど変わらずモノをみる事が出来る私の視覚がうらめしい……
見比べた事があるわけじゃないが、確かに……遊馬崎のは…でかい。
あんなのが、その……女の体の中に…………入るのか? 
新羅のもあんなんだったらどうしよう……って、何を考えてるんだ、私は……

173 名前:なつのおわりのよるのゆめ【前編】(11/21)[sage] 投稿日:2008/04/24(木) 16:50:29 ID:7gpV/0UH


「んで、レルード。続きはどーゆーご奉仕をしてくれるんすか」
「えと……あの……」
「決めかねてるなら、二択でどうっす? 手で? お口で?」
「う……あ……」
「ほらほら、早く決めないと、ご主人様のが萎えちゃうっすよ?」
「じゃ……その、口で奉仕、して、やろう」
 
遊馬崎の一物のあまりの大きさに気おされたのだろうが、
レルードはおずおずといった風情で、天突くほどに強張った遊馬崎の怒張に手を伸ばし……
……そして、意を決してそのこわばりに舌を絡めて行く。
そっか……口でするのというのもあるのか。私には無理だけど……
 
「ん……んちゅ……はぁ…んん……、どうだ……?」
「まあ……なかなかっすかね? あ、そうそうカリんとこ、カリんとこ」
「さっきから……ちゅんぅ…人間の分際で……あ、はぁ……さんざん馬鹿にしてくれやがって……
覚悟…ぁあ…しておけ…ちゅむ…一滴残らず……お前の欲望を、ちゅ…ちゅ…搾り取ってやるからな……」
「ご主人様へのご奉仕の最中は、しゃべるかしゃぶるかどっちかに集中しないとオシオキっすよ?」
「あっ…はぁ……だから、誰がご主人さ……あぁ?! あぁぁあああああっ?!」
 
いつのまにかレルードのスカートの中にもぐりこんでいた遊馬崎の手がぐりぐりと動いている。
 
「ウフフフフフフ、やらしいメイドさんっすねえ……ぱんつはいてないとは思わなかったっすけど」
「うぅあぁぁ……馬鹿者、いっ、いきなりさわるな……あ、ダメ……ダメ、やぁぁああああああ!」
「こらこら、上のお口がお留守っすよ。もっと気合入れてご奉仕してくれないとっす」
「殺す…殺してやる…貴様の命を……あっ、あっあっ……吸い―――――ん―――んんうぅううう」
「んー、聞き分けの無いメイドさんにはお口にフタをしてあげないといけないっすよねえ?」
 
遊馬崎はレルードの頭をがしりと掴んだかと思うと、そのガチガチに膨らんだ男性自身を、
レルードの可憐な唇の中に無理矢理ねじ込んで、いて……
……どうしよう、もう、こんなのこれ以上見たくないのに『視線』を切れない。
 
「噛み付いちゃダメっすよ〜? お…、おお……? やれば出来る子じゃないっすか……レルード」
「んうぅっ……んううーっ……!」
「ちゃ〜んと最後までしたら、今度は下のお口にご褒美くれてやるっすからね」
「うぅ、んぅう、はぁ、ああぁ……ぁあ……ああああぁぁぁぁああ……」

口唇での奉仕を強要させつつも、遊馬崎はスカートの中の手の動きも止めない。
……きっと、とても感じてるんだろう。レルードの声もまた、甘くとろけて口から零れ出す。
その艶やかな嬌声に深く魂を揺すぶられてようやく気づいた。
さっきからこの二人から『視線』を離せないのは『夢魔』が生来持つ『魅惑』の力だと。
……困った。気づかぬうちに私までもがすっかりやられてしまっていたらしい。

174 名前:なつのおわりのよるのゆめ【前編】(12/21)[sage] 投稿日:2008/04/24(木) 16:51:40 ID:7gpV/0UH


「……さて、ちょっと聞いとくっすけど、精気の吸収ってのは口からでもイケるんすか?」
「ふぇ……? あぁ…うん、うぅん」
男のモノを咥えたままでは返事もままならないだろうが、レルードはどうにか首肯する。
 
「んじゃ、こっからは激しく行くっすよ……!」
 
そして、レルードの頭を握り締めたままの遊馬崎の手が、より強引さを増し、激しく上下に動かし始める。
レルードの頬が内側から突かれ、怒張の形さえも分かるほどに浮き上がる。
その……こういうのは、男性自身の『限界』が近いんだよな?
 
「さ、全部飲むんすよ……ご主人様の精気を!!」
「んんんっ!!! んんぅ〜〜っ!!!」
 
遊馬崎の腰ががくがくと震え一層強く突っ込んだと思うと、レルードの咽奥を深く、深く犯していく、
そして、レルードも咽を震わせて、何かを飲み下していく。
うぁ……出てるんだな。男の、欲望、そのものが……
 
やがて、欲望を吐き出し終わったのか、遊馬崎がレルードの口の中にねじ込んでいた怒張を引き抜いた。
すべては飲みきれなかったのだろう……逸物の引き抜かれたレルードの口元からは、
こぽりと白濁液が溢れ出し、綺麗なその顔を汚していった。
 
「うぅ、は……なんか…スゲェ、確かに、普通に出すのとは、ぜんっぜん違うっすね……」
「ああぁ、ぅん…濃い…すごい……おいしい……」
男の『精』にすっかりアテられたのか、ひどく陵辱されたはずのレルードがなんだか満足げだ。
口内に残った精を、上質のワインを味わうかのようにくちゅくちゅと転がして味わい、さらに飲み込んでいく。
やっぱりその……なんだかんだいってもコイツは『夢魔』なんだなあ……
 
「ウフフフフフフ、お口でご奉仕しただけなのに、ぽーっとしちゃって可愛いっすねえ、レルードは」
「……うぅ、糞……夢魔を甘く…見るな…不意をつかれた…から…あぁ……はぁ…、油断した…だけだ……」
 
情欲に流されすぎて、トんでいた理性が若干帰ってきたのだろう、
レルードの目にほんのわずかだが光が戻り、遊馬崎を睨みつける。

「こーゆーのも広義のツンデレに入るんすかねえ? 
ケフィア的なもので口元汚したまま言う強がりがむしろ萌えっす!」
「うう…はぁ……と、言うか…はぁ、お前……
今、本気で精を吸い取ってやったのに………なんで、なんで普通に動けるんだ!」
「んー、言われてみればちょっとダルいかなー、とは思うっすけど」
「バケモノかお前……!」
 
バケモノがそれを言っちゃ世話無いなあ……私も人のこと言えた義理じゃないけど。
 

175 名前:なつのおわりのよるのゆめ【前編】(13/21)[sage] 投稿日:2008/04/24(木) 16:52:37 ID:7gpV/0UH


「と・こ・ろ・で・っすね?」
「ひゃっ!? あ……ああぁあぁぁっ?!」
 
遊馬崎はまだまだ呆けているレルードを押し倒すと、下半身に手を伸ばしスカートの中身をいじり始めた。
キスや口唇愛撫とはまた違う、くちゅくちゅという粘性の音が溢れ出す。
もう、夢魔があれだけ人間に好き放題やられちゃったら……プライドズタボロだろうな。
 
「あーあー、もう、下のお口は本気汁でとろっとろっすよ?」
「うぁ…あぁああん…い…いきなり触るなって、うぅん…さっき…言った……のにぃぃっ!」
「でもさっき『ご褒美』あげるって言ったっすから」
 
遊馬崎は陰部をまさぐる手を引き抜くと、今度はレルードのスカートの中に丸ごと頭を突っ込んだ。
LEDの白ライトか何かで中を照らしてるのだろう、
布をすかしてほんのりと光が見える……もうむちゃくちゃだな、コイツは。
 
「おお、こんな綺麗なおまんこは二次元でもなかなかないっすよ!」
「馬鹿馬鹿馬鹿! そんなじっくり見るな!!」
「恥丘は毛の一本も無くつるっつる、割れ目はこんなキッチリ左右対称で、肉もはみ出してないっすし、
クリちゃんも大きすぎず小さすぎずそれでいて自己主張だけは忘れずぷっくりと膨れて、
それにナカを開くと……ほぉら」
「や、や、やぁぁぁぁぁぁっ、開くな! 照らすな! ナカとか見るんじゃない!」
「ウフフフフフフ、薄い肉色が充血した感じのサーモンピンクで、
たっぷりとまとわりついた愛液がテラテラ光ってスゲェエロいっす!」
「あ、あぁ、や…あ、あ、あぁ……、ダメだってぇ…、指、いれるなぁ……」
「だからって、おツユも汁ゲーみたいに
大げさに出てるわけじゃないっすし……うん、味もサイコーっす」
「う、う、うぁぁああああ……いきなり舐めるな、ばかぁ……」
「んー、さっき俺のん舐めてくれたっしょ、お礼っす、お礼」
 
単純な腕力でいうなら、5秒で遊馬崎を八つ裂きに出来るであろう『夢魔』が、
『たかが人間』にすっかり翻弄されている姿を見てると……
……なんだか私と新羅の関係を思い出してしまって、体がカッと熱くなる。

176 名前:なつのおわりのよるのゆめ【前編】(14/21)[sage] 投稿日:2008/04/24(木) 16:54:11 ID:7gpV/0UH


「んんっ…あぁ…やめろ……本当に止めろ……殺すぞ、人間……」
「……ふ〜ん、あっ、そーっすか、殺されちゃかなわないっすし、ヤメっす。ヤメ」
「え……?」
 
今まで何を言われようと、引き下がらなかった遊馬崎が
あっさりと行為を中断し、スカートから顔を引きぬいた。
そして『止めろ』とさんざん主張していたレルードがむしろ戸惑っている。
 
「本当に……やめる、のか?」
「ヤメなきゃ俺の事、殺すんっすよね?」
「そう……だが」
「じゃあ、そこまでして一発やりたいって程、俺も餓えてないっすし?」
 
こういう経験が無いに等しい私にだってわかる……どう見ても、
火照った体をもてあましてるのはレルードの方だ。
 
「あの……だな、お前がどうしてもヤりたいというなら……続きをしても……」
「べっつにぃ〜、3次元でわざわざ妥協しなくても、
二次元には俺の事を待ってくれている彼女たちがたぁっぷりいるんすよねぇ〜」
「う、うううう……おかしいだろ! お前! 二次元の女とどうやって……!」
「―――無論。脳内っす! 今月は手乗りタイガー犯したぜ! 来月は片倉優樹掘ってやる!
レイプレイプレイプレイプレイプレイプレイプレイプレイプレイプっすよ!
ダブルブリッド四年半ぶりの復活にして最終巻発刊、万歳! 万歳! パンツァ〜イっすよ!!」
 
……真性だ。
本物でマジモンで真性のキチガイだ。コイツは。
もう、レルードはすっかり毒気を抜かれてしまって、ぽかんと遊馬崎を眺めるばかりだ。
 
「……でもね、レルードがどーしてもヤりたいっつーなら、俺も続けるのにやぶさかではないっすよ?」
「わ……私は別にお前みたいなヘンタイとなんか……」
「ふぅん、じゃ、さっきのフェラのときの精気でちょっとだけでも回復したんすよね? 
もう出ていってくれても良いっすよ。夢魔ってワリにイマイチ使えなかったっすし」
「馬鹿にするな! 私が本気を出したら、お前なんか……お前なんか……!」
「別に本気なんて出してくれなくって良いっすよ、さ、帰った帰った」
「ま……待った、ちょっと待った!」
 
バンから追い出されそうになったレルードが、遊馬崎の袖に取りすがって、なにやら懇願しはじめた。
ああ、もう……完全に遊馬崎のペースになっちゃってるな、コレ。

177 名前:なつのおわりのよるのゆめ【前編】(15/21)[sage] 投稿日:2008/04/24(木) 16:55:18 ID:7gpV/0UH


「ん? 何を……待つんすか?」
「何って……その……」
 
遊馬崎、お前こそ、今のいかにも『 計 画 通 り 』って笑みは何だ。
 
「ウフフフフフ、したい、んすよね? レルードは。したくてしたくて我慢できないんすよね?」
「……え、ぁ……………………そうだ」
「じゃ、自分からちゃぁんとおねだり出きるっすか?」
「……う、ううううううううう………………身体が疼くんだ、して、くれ」
「レルード。ご主人様には敬語を使うべきじゃないんすか?」
 
遊馬崎はもう、すっかりご主人様気取りだな……おい。
 
「ご、ごご……ご主人様、して、くれ……じゃなくて……して、ください……」
「ウーフフーフーフー、やっと自分に正直になれたみたいっすねえ、レルード。
ま、メイドとしてはまだまだっすけど、
そーゆー不出来なメイドをキッチリ仕込んでやるのもあるじの務めっすよねえ」
 
レルードは疼く体をようやくどうにか出来そうなのが待ち遠しいのだろう、
「……どうする? 脱ぐか?」
などといいつつ、うずうずしながら、既に自分の服に手をかけている。
 
しかしそのセリフを聞いた遊馬崎は、一瞬いつもの軽いノリが表情からも消えて、
十数秒ほど黙り込んだと思うと……怒涛のごとく口を開いてレルードを罵倒し始めた。

「馬っっっっっ鹿じゃないんすか?! 馬鹿じゃないんすか?! 馬鹿じゃないんすかぁぁぁっ?!」
「……え? え?」
「アンタ仮にも夢魔なんでしょう?! ヒトの欲望に惹かれて現れるんでしょう? 
それがどーして、こんな簡単な事もわからないんすか!」
「簡単な……って、何か、私が、お前を不愉快にさせた……のか?」
「不愉快も不愉快、大不愉快っす! メイドさんがっすよ……いいっすか、メイドさんがっすよ、
メイド服を脱いだら、それはもーメイドさんじゃないっす、もっとおぞましい何かっす!!」
「す、すまん……以後気をつける……」
「敬語。レルード、敬語っす。ご主人様に対する敬語を忘れたメイドさんもメイドさん失格っす」
「き、気をつけます……ご主人…様」
 

178 名前:なつのおわりのよるのゆめ【前編】(16/21)[sage] 投稿日:2008/04/24(木) 16:56:08 ID:7gpV/0UH


遊馬崎は従順に従い始めたレルードの姿を見てニタリと笑うと、その体を後ろから抱きすくめ、
「まあ、だ・け・ど、脱がせるのはナシにしても、胸元開いておっぱいを
ポロンとこぼれ出させるぐらいはアリのアリアリ、アリーヴェデルチっすよねぇ〜♪」
などと言いつつワンピースの胸元のボタンだけを器用に外して割り開き、
レルードの二つの綺麗な双丘を外気に触れさせる。
そのまま遊馬崎はこぼれ出した乳房を思うがままに揉みしだき、時には指先でとがった乳首を攻め立てる。
 
……胸か。
胸だったら私もあんな風に、新羅とでも……

「や……止めろ……止めてください…なんか、裸より恥ずかしいっ!」
「恥ずかしくて当たり前っす。辱めてるんだから……ん〜、良い揉み心地っすねえ」
「や、あ、あ、あ、あんっ!」
 
再び火の入り始めたレルードの放つ嬌声が、
更に深く私の魂を揺さぶり、二人の痴態から目を逸らす事を許さない……
……ってか、夢魔の本気の嬌声を一番間近で聞いてるくせに、
まるっきり自分のペースを崩さずにいられる遊馬崎は何者なんだ。お前はホントに人間か。
 
「う……あぁ、あんっ、ご……ご主人様、その……あの……」
「……ん〜? なんすか、レルード?」
 
遊馬崎は分かっている。
分かった上であえて聞き返し、黙ってゆるやかな愛撫を続けている。
レルードもそれ以上は言葉を返す事が出来ず、しばらくの間、この二人の間を沈黙が支配した。
遊馬崎も日英ハーフのその顔はそれなりに整っていて、黙っていれば結構な美男子だ。黙っていれば……な。
そんな遊馬崎の目に見つめられて、耐え切れなくなったのかレルードがとうとう口を開く。
 
「私……私、もう、ガマン……できません」
「何を、ガマン、出来ないんすか?」
「ア、アソコが、アソコが疼いて……もう、許してください……」
「アソコってどこっすかぁ? それとレルードは外国の夢魔だから日本語わからないんすかねえ?」
「こ……ここです」
とうとう、恥も外聞もないといった風で、レルードは自分の胸を触り続けていた遊馬崎の手をとると、
嫌というほどに濡れそぼっているであろう自分のスカートの中へと導いた。
遊馬崎の指が、そのまま、ナカを愛撫し始めたのだろう、レルードの表情がうっとりと緩み始める。

179 名前:なつのおわりのよるのゆめ【前編】(17/21)[sage] 投稿日:2008/04/24(木) 16:57:17 ID:7gpV/0UH


「あ……は、うぅ…は……はぁ……やっと! やっと!」
「ココはね、日本語ではおまんこって言うんす……はい、りぴーとあふたーみー」
「はい……ご主人様…お、お……お…まんこが……疼くんです……いじってほしいんですぅ」
「そこまで言えって言ってないのに、レルードはいやらしいメイドさんっすねえ」
「んぅっ…あぁ……申し訳ありません、こん…な、いやらしいメイドで申し訳ありませんっ……」
「で……レルードは俺が触ってるだけで満足なんすか?」
「あ…その、挿れて、欲しいです……」
「何を…っすか?」
そこで、一瞬の逡巡の後……もう、たまらなくなってたんだろう、
レルードはバンの外にも響くぐらいの大声でこう叫んだ。
 
「おちんちん! 私のはしたないおまんこに、ご主人様のおちんちんを挿れてくださいませ!」
 
まてまて、ヘタすりゃ人がくるぞ、今の大声は。
―――と、言うか私も動けないからかなりヤバイって!
 
しかし、遊馬崎はそんな危険をまったく気にした風もなく、
「ウッフッフッフ、教えてもいないのに、男のモノの名前はちゃんと知ってるじゃないっすか」
「知ってます……んんっ、田舎を出るとき…あぁ…知識を『吸い取って』来ましたからぁ……」
「じゃ……ちゃんといえたご褒美に、レルードのスケベおまんこにチンコぶち込んであげるっすよぉ」
「ありがとう御座いますご主人さ……あ?! あぁぁぁぁぁああっ?!」
 
遊馬崎は後ろから抱きしめた姿勢のまま、スカートをたくし上げると、一気に腰を突き動かしていた。
レルードの端正な顔が歪む。おそらく、苦痛ではなく、悦びで。
こっからじゃ見えないけど、遊馬崎のあんな、おっきいのが…はいっちゃうんだ……

180 名前:なつのおわりのよるのゆめ【前編】(18/21)[sage] 投稿日:2008/04/24(木) 16:58:57 ID:7gpV/0UH


―――って、カラダがなんか変な感じがするけど、コレ、まさか。
 
そこで私は、自分も胎の奥底が、熱く、熱く疼いてるのをようやく自覚した。
と、いうか……『影』で作り、ぴったりと身にまとったライダースーツの内側が……濡れている。
人の世のものと違う素材で作られたそれは、一滴の水分も外に逃すことなく、その内側だけを濡らしていた。
そっか…私も、濡れるんだ……
 
私が自分の体に起こった変化に驚いている間にも、もちろん二人の痴態は止まる事など無く、
「あ……うぁ、あ、や、あ、ああああぁぁ……」
「……く、は……コレはちょっとレルードに謝らないといけないっすねえ」
「ふぇ……なにを…んぅ…あやまる…ですか……ごしゅじんさまぁ……」
「いや…きゅうきゅう締まって…スゲェ気持ちいーおまんこっす…ちょっと夢魔を馬鹿にしすぎてたっす」
「ククク、やっと、夢魔の凄さを思い知ったか人間め……え?! あ、や、あ、あぁぁぁぁっ!」
「……ちょーしに乗りすぎたら今みたいに、ハメながらクリ攻めいくっすよ?」
「あ、あぁ、う……申し訳、ありませぇん……」
 
だけど、もはや私の『眼』には二人の情交など届かず、自らの体の感覚に全神経を集中していた。
濡れそぼっているだろう股の上から軽く手を添えて動かすと、ぴり、と電気を流されたような感覚がし、
私はしばし、うっとりとした。
 
ふ、ふふふふふ。そうか。そうかそうかそうか。
私も濡れるのか。私も性的に欲情できるのか。……そうか、私も、新羅と愛しあえるのか。
 
「ずいぶん濡れるタチなんすねえ、レルードは。
……もう、繋がってるトコぐっちゃぐっちゃいってるっすよ」
「そんな……私……あァ…ご主人様がわざと…音、だしてるんじゃ、あ……ん、ふぅ……」
 
ふふふふふ。ははははは。
おかしい。おかしくてたまらない。奇妙で、滑稽で、そして痛快だ。
私にちゃんとした口や声帯があったら大笑いしているところだろう。
いや、事実、胸から上を全力で震わせ、私はクツクツと声無き哄笑を振り絞っていた。
 
「ああ……焦らしたかいがあったっすよ……こんな、奥の奥までヌルヌルで……」
「や……っ! ひっ……ぐ……う……うううう、あ、ああっ!!」
 
こんな道端で、こんな風になってしまった事は恥ずかしいことだという自覚ぐらいはある、
……だけど、ちょっとした嬉しさも、また感じている。
正直なところ……今までも少し不安はあった。
首すら持たないヒトとは違う自分の体が、ヒトである新羅をちゃんと愛する事ができるのか、と。
私もガキじゃない。
『心のつながりさえあればいい』なんてのは結局のところお題目に過ぎない。
新羅がいくら深く私を愛してくれると言っても……やっぱり繋がったという『証』は欲しいんだ。
私もまた、ヒトと同様その『証』を手に入れることができるかもしれない、というのがたまらなく嬉しい。
 
―――うん、決めた。
今夜は新羅とはじめて愛し合おう。
この二人にアテられてしまったってのはシャクだけど……私がこういう気分になる事も滅多に無いんだ。
今夜ヤらなくって、いつヤるってんだ。

181 名前:なつのおわりのよるのゆめ【前編】(19/21)[sage] 投稿日:2008/04/24(木) 17:00:14 ID:7gpV/0UH


「く、くぁ……、きっつー。こっちゃぼちぼちイきそうってところっすけど……
……レルードはナカにほしいんすよね? おまんこに射精して欲しいんすよね?」
「あ、はぁい……ちょうだい……ナカにちょうだぁい」
 
……ふと、気づけば、呪縛されていた体が自由に動く。
偶然とは言え『眼』を逸らしていたからか、あるいはさっきの大笑いで意識が晴れたからか。
いや……違うか、マンションで待ちぼうけてるだろう新羅のことで心がいっぱいだからだ。
 
「違うっす! メイドだったら『ナカにちょうだい』じゃなくて『ご主人様、お情けをくださいませ』っす!」
「うぁ…ああんっ…分かりましたぁ……ご…しゅじんさまぁ、おなさけをくださいま……あ、ああああっ!」
 
そして、結構長くまぐわったままだったであろう、二人の情交も終りが近いようだった。
……コイツら最後までこのノリだったんだなあ。
 
「出すっすよ……レルードのナカに全部の全部出すっすよ!!」
「ヤ……っ、はっ…あ、私……イっちゃいます…! ナカに出されてイっちゃいますっ!」
 
遊馬崎は、最後の最後まで遊馬崎だったけど、
レルードのほうはこの短時間ですっかり調教され尽くされていたらしい。
すっかり従順になって、恥ずかしいセリフを思いつくがままに言い散らかしていた。
この二人、ヒトとバケモノとは言え、体の相性『だけ』は抜群に良かったらしい。
私と新羅もこのぐらい上手く良きゃいいけど……
 
そして、遊馬崎はレルードの体に、一段と深く腰を打ちつけたかと思うと、ビクビクと体を震わせはじめた。
……あ、アレ、射精してるんだな。すご…レルードも、遊馬崎も、とっても気持ちよさそうで……
 
「うっわ……スッゲ…、腰が抜けそうっつか……射精とまんねえっす……」
「お……おもいしったか、んんっ…あ……や、やぁん……夢魔の……本気を……」
「ああ……吸いとられ…そーっす……レルードのおまんこ、こんな、滅茶苦茶に締まって…」
「さんざん…んあっ…オモチャにして、くれやがって……一滴残らず、
うぅん…搾り取って、ころして…やぁ、あぁ、やるぅ」
 
流石に直接の交わりでは人間である遊馬崎に分が悪いんだろうか……?
ひぃひぃ言わされながらもレルードは全身で遊馬崎に絡みつき、貪欲に精を搾り取っていく。
まったく……この夢魔も、ちょっと立場が逆転すると、すぐに強気になるんだなあ。
ま、今までの感じからすると、多少吸い取られたぐらいじゃ遊馬崎だったら多分大丈夫だと思うけど……

182 名前:なつのおわりのよるのゆめ【前編】(20/21)[sage] 投稿日:2008/04/24(木) 17:02:03 ID:2BSPUUuO


「……え? ええっ?! ひあぁぁっ?!」
 
しかし、一層カン高い嬌声をレルードがあげたかと思うと、
遊馬崎は射精しつつも腰の動きを再開し、より強く夢魔を攻め立てていく。
 
「ちょ……お前…だ、出しすぎだろ……あ…! 
や、溢れる、溢れちゃう……奥で、いっぱい溜まって……
もう、入らないって! これ以上入んないから!」
 
「クックックッ……人間を舐めるんじゃぁ無いっすよ、バケモノ! 
……あ、このセリフ実生活で一回使ってみたかったんす。今夜はまたひとつ夢が叶ったっすよ!」
 
遊馬崎……おまえはそのセリフをそのシチュで言うか。
お前はそのセリフに謝れ。平野耕太とかその辺にも謝れ。全身全霊で謝れ。
 
「そういやさっき……なんか言いかけてたっすよねえ?」
「あ……、あっああぁ……ああぁあっぁぁぁあ、いや、いやぁ、まだ、出てるぅ……」
「一滴残らず搾り取って殺してやるとか何とか……」
「も、もう、そんな事言わないから……ダメ…やめてお願いもう出さないで……」
「搾り取って殺せるもんなら……殺してもらおうじゃないっすか!」
「無理……ごめんなさい、私じゃ無理、だから……」
「……俺はね、死んだ後、二次元という名の天国に行きたいんす」
「ふぇ……?」
「夢魔と一戦やらかして、絞り尽くされた挙句の死去。
これ以上の二次元的死因があるっしょーか? いや……ないっす!
二次元に近い位置で死ねば、より二次元に近づけるはず……
……ならば、本日この場での腹上死も上等! ブシドーはhageることとみつけたりっすよぉーっ!」
「……いや、いやぁぁぁああああっ! 壊れちゃう! 壊れちゃうよおっ!」
 
いーや……遊馬崎、なんであろうとお前が天国になんかいけるわけないだろ。ぜったい地獄行きだ。

183 名前:なつのおわりのよるのゆめ【前編】(21/21)[sage] 投稿日:2008/04/24(木) 17:03:01 ID:2BSPUUuO


仕方ない、同じ女としてコレだけいじめられてると流石にかわいそうだし、いいかげん助けてやるか。
多少なし崩しとは言え、この夢魔は、私が自分の気持ちに気づくきっかけをくれた訳だし……ね。
 
私は『影』を細く、そして長く伸ばし、バンのドアの隙間から侵入させていき、
いまだ激しく夢魔を犯し続ける遊馬崎の首筋に『影』を巻きつけていく。
頚動脈を死なない程度にシメてやれば、妙に丈夫なこいつでも流石にオチるだろ。
 
「……なんか、意識が、遠く…らめっ、らめぇぇぇぇえぇっ!
逝く逝く逝っちゃうぅぅ?! 連れてって! 俺をヘブン状態へ!!」
今の心の底からキモいセリフは断末魔だったんだろうか……? 
ともかくその言葉を最後に、遊馬崎はピクリとも動かなくなった。
 
そして、遊馬崎が動かなくなった事でようやく我に帰ったのだろう、
レルードは身を起こして……いまだ射精を続けていたらしい逸物をようやく引き抜いた。
胎に注ぎ込まれた大量の精が逆流してるのだろう、スカートの裾からボトボトと白濁液が零れ落ちていた。
 
「あ……どうした、コイツ、急に動かなくなって……ざ、ざまを見ろ人間風情が! 
夢魔の一族を馬鹿にするからこういう事になるんだ、思い知ったか!」
 
……レルードは小物だなあ。すっごい小物だなあ。
 
「むにゃ……俺は…夢魔の力で二次元を手に入れて…新世界の神に……」
「ひぃいぃっ!?」
 
どんな寝言だよ……
ってか、シメてやったばっかりなのに勝手に蘇生したか……元気だなー、遊馬崎。
 
ともかくも、まだ遊馬崎が生きてる事に気づいたレルードは飛び上がらんばかりに驚くと、
「きょ、今日のところはこのぐらいで勘弁してやる! 覚えてろ!」
と、もうベッタベッタの捨て台詞を残して、バンから転がるように逃げ出していった。
 
さて……アレ追っかけて、今夜の馬鹿騒ぎをそろそろ終りにしようか。
終りにして、落ち着いたら、そして、私は、今夜、新羅と……

184 名前:なつのおわりのよるのゆめ【前編】(21/21)+[sage] 投稿日:2008/04/24(木) 17:05:18 ID:7gpV/0UH




                                              『前編』 終







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