2-296氏


296 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/07/14(月) 21:46:39 ID:sFXkFLgC

1933 ハドソン河沿い 廃工場
大きな工業機械の上に若いカップルが肩を寄せている。
男が呟く
「うん。いい眺めだ。対岸の明かりが反射して…綺麗だな」
女は何も言わない。
いや、「言えない」のだが、男の言葉は先へ進む。
「そうだろ?だけどさ…」
もしも第三者がいたのなら「そうだろって何がだ?」と突っ込むところだが、生憎第三者はいなかった。
男の声だけが静かな廃工場に響く…
「シャーネのが綺麗だよ」
寒気がするほどクサい台詞を真面目な目で女に告げる。

297 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/07/14(月) 21:47:08 ID:sFXkFLgC

人が人なら冗談や軽口ととるのだろうが、シャーネと呼ばれた女は顔を赤らめて俯く。
男が本気なのを知っているからだ。
女は赤い顔で男を睨む。恥ずかしいと非難するように
「いやいやいや。本気だって!シャーネのが何万ばぃ…
言い終わる前に男の胸に女が頭をドスっと当てる。
上目遣いでシャーネは男を見つめる。
男は右手でシャーネの前髪を逸し、そのまま首の後ろに…
左手で腰を抱き…
真っ赤な顔で見上げる女の目を見つめ…
唇を…


298 名前:名無しさん@ピンキー[sage] 投稿日:2008/07/14(月) 21:47:51 ID:sFXkFLgC

唇を…



「わあ、マリアちゃん落ち着いてー」

工場にのんびりとした声が響く。
シャーネは投げナイフを手に立ち上がった…
クレアはハドソン河に溜め息をついた…






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